患者講義やってます
去年から、B型肝炎のことについて、大学や高校で講義をしています。
弁護士だけでなく患者さんと一緒に学校へ行き、講義をします。というか、弁護士ではなく、病気の体験をされた患者さんが主役の講義です。僕らは、「患者講義」と言っています。
なぜ、「講義」しているか?
弁護士をしていると常々感じることですが、世の中で起きたよくない出来事(被害)は、裁判で全てを解決できるわけではありません。究極のところ、裁判は、過去に起きた被害をお金に換算するに過ぎないからです。
例えば、幼少時の集団予防接種でB型肝炎に感染するというとんでもない被害にあった患者さんは、裁判で国に勝っても健康な身体は戻りません。
同じように、B型肝炎に感染していることで、友人、家族、会社等で差別を受けるなどの嫌な思いをしたことは消えません。現在でもB型肝炎に対する間違った認識を持っている人から心無い態度をとられることがあります。
それなら、今の若い学生さん達に、B型肝炎についての正しい知識を知ってもらい、実際に病気で苦しむ患者さんの声を聞いてもらうことで、将来に向かって、差別や偏見がないようにできるのではないか、という取り組みが「患者講義」です。
また、「患者講義」は、学生さんにとっても貴重な体験になっていると感じています。学生さんの講義の感想を聞くと、B型肝炎の問題は、実はB型肝炎の問題にとどまらず、基本的人権の保障(国の施策によって被害を受ける人が存在し、その人達の権利回復の大切さ)や人の尊厳や平等(感染症患者のような社会のマイノリティーを形成する人との接し方等)といった学生が社会に出る前に身につけておくべき大切なことを考える契機になっているように思うからです。
昨年、兵庫県立尼崎北高校にて実施した患者講義について、同高校のHPにてご紹介していただいていますのでご紹介します(講義の機会を与えていただいた先生には感謝しております)。
https://www2.hyogo-c.ed.jp/weblog2/takarakita-hs/?p=1790
本年も一人でも多くの学生さんに、B型肝炎のことを知っていただけるよう頑張ります。
弁護士 牧 亮太