B型肝炎訴訟を知っていますか(オール関西肝炎サポート大集会の報告)
B型肝炎訴訟とは、昭和23年以降にすべての国民が幼少時に集団予防接種を法律で強制させられていた際の注射器の連続使用が原因で40数万人もの人にB型肝炎ウイルスが広がってしまったことの損害賠償等を求めた裁判です。
私は、弁護士になる前に友人がB型肝炎ウイルスに感染していると相談を受けたことから、弁護士になってからずっとこの問題に取り組んでいます。
幼い頃、母親に「病気をしないためだから我慢してね」と言われて、泣く泣く予防接種を受けさせられたという記憶がある方はたくさんいると思います。母親は、子どもが泣こうとも、子どもの健康のためと思っていたからこそ、嫌がる子どもに予防接種を受けさせたはずです。さらに、その予防接種は冒頭で記載したとおり、法律で接種を義務付けられていたのです。
偶然、自分が注射を接種する前の人がB型肝炎に感染していたら、それだけで感染してしまったのです。そうして、全国にB型肝炎の感染は広がりました。
B型肝炎に関することをさらに知りたい方は、こちらへ
全国B型肝炎訴訟大阪弁護団 http://bkan-osaka.jp/
前置きが長くなりましたが、11月16日、「オール関西肝炎サポート大集会」を開催しました。この集会は、肝がん・肝硬変の患者の方への医療費助成制度の制定を目指すものでした。
B型肝炎だけでなく、C型肝炎患者も含めると全国に約350万人の肝炎患者がいます。国民的な「医原病」といえます。この問題は、もはや裁判だけでは解決できません(裁判に参加できる人も証拠がないために非常に限られています)。たとえば、裁判を起こして国から賠償金(給付金)の支給を受けた人も、その後の治療費は自己負担です。特に、肝がん・肝硬変患者については、治療について、何の国からの助成もなく、大きな医療費の負担に苦しめられているのです。
集会には、総勢440名の方の参加がありました。国会議員・地方議員も51名の出席いただき、医療費助成制度実現に向けて力強い言葉を頂戴しました。医療費助成の実現に向けて大きな一歩になったことは間違いありません。
弁護士をしていると裁判という枠組みで解決できる範囲に限界があることを日々、痛感します。今回は、裁判では解決できないことへの取り組みの紹介でした。
牧 亮太