旅行記~平和に思いを馳せながら~
先月、山口県へ旅行に行きました。
秋芳洞の壮大な景色を眺め、唐戸市場では美味しいごはんを頂き、明治維新の志士の会見が行われたといわれる場所を中庭にもつ旅館にも泊まり、歴史を感じながら、とても楽しい時間を過ごしました。
帰路につくとき、下関駅から小倉駅までの電車に乗りました。車窓から外を眺めていると、一気に目の前は真っ暗闇に…。海を渡る長いトンネルの暗闇から、一気に視界が開けるその瞬間の景色は、旅の最後に見たとても印象的な景色でした。
私が旅行に出かける少し前の2023年2月13日に、漫画家の松本零士さんが亡くなられました。松本零士さんは福岡県のお生まれで、とりわけ北九州市にゆかりのある方。松本零士さんのある著書には、小倉駅発の夜行機関車から眺めた風景が「星雲の中を走る」ように見えたのが、銀河鉄道999の構想につながったという記述があるそうです。
私が見たのと同じような車窓から眺めた景色を見て、宇宙を思い浮かべる、松本零士さんその想像力とそれを作品につなげられる創造力にとても驚かされました。
宇宙について描き続けた松本零士さんの作品には、常に「平和」というテーマが共にあると語られています。戦争の時代を経験されたその生い立ちもありインタビューなどでもいつも「平和」や「命」について語られる姿が印象的でした。
心の中に「平和」や「命」について、強い思いを秘めている人は多いと思いますが、その思いが他の人に届くように形にするということはとても難しいことだと思います。松本零士さんはその思いを、漫画という形でたくさん発信されてきた方であり、訃報を聞いた時は、その大切な存在を失った喪失感をとても強く感じました。
戦争が続くウクライナや世界中の紛争に、きっと心を痛めながら最期のときを迎えられたのではないかと想像すると胸が痛いですが、今はただ、平和を願う思いが込められた漫画という遺産が、この先も多くの人の心に残り続けるよう、また、早く平和が実現されるように願うばかりです。
事務員 S